初心

 よく耳にする「初心忘るべからず…。」とは、一般的に何事においても、始めた頃の謙虚で真剣な気持ちを継続していかなくてはならない…。」という戒めです。元々、室町時代初期の大和猿楽結崎座の猿楽師である世阿弥が修行について言った言葉です。世阿弥の芸能論の精髄である能芸論書の『花鑑(かきょう)』に「当流に万能一徳の一句あり。初心不可忘」とあるのに基づきます。世阿弥の言う「初心」とは初心者の頃の未熟さから見っとも無い姿をその時々に思い出すことによって「あのみじめな状態には戻りたくない」と思うことなのです。その事によって、さらに精進し、成長できるのです。ですから「初心」は単に「最初の志」に限られていないのです。世阿弥は、人生の中にたくさんの「初心」あると言っています。若い時代の初心、人生の時々の初心、そして年老いた時の初心…それらを忘れてはならないということなのです。人間…誰もが新しい扉を開ける時に「精一杯、頑張ろう!」と思った筈です。それをあれこれ言い訳をつけて出来ない理由を作ってはならないのです。